カメラの中身を知らなくても写真撮影は充分に楽しめますが、カメラの仕組みや基礎知識、撮影方法を理解すれば撮影がさらに楽しいものになります。
フォトマスター検定は、写真・カメラの実用知識が問われる検定ですので、写真撮影技術のステップアップを目指す方、自分の実力を資格という形で指標化したい方にオススメです。
この記事では、フォトマスター検定の概要から勉強法までまとめてみました。フォトマスター検定の受検を検討されている方、勉強法を知りたい方の参考になれば幸いです。
ちなみに私も1級を持っています。
フォトマスター検定ってどんな検定?使える資格なの?
フォトマスター検定は、カメラの実用知識に関する検定で、カメラの仕組みから、SDカード、写真の歴史に関することまで、写真・カメラに関して広く総合的な知識が問われます。
綺麗な写真が撮れるようになるというよりは、カメラのことを理解して撮影ができるようになる資格と思っておいたほうがよいと思います。
また、フォトマスター検定を持っていたから就職に有利だとか、昇進しやすいということはあまり期待できません。
相手に、「自分がカメラのことをそれなりに知っているよ」と伝える時に役に立つくらいでしょうか。プロの写真家やカメラメーカー、その他カメラに携わる仕事をしている人は自分の発言の信憑性をあげるために持っておいて損はないと思います。
フォトマスター検定のホームページによると、下記のような職種の人達が受験しているようです。
- 趣味の写真の世界で着実に一歩前進したい方
- 生涯学習の目標やレベルアップをめざす初級~上級の写真愛好者
- 中学・高校・大学などの写真部(サークル)単位
- 一般写真サークル・クラブ単位でのレベル別受験
- 一般写真サークル・クラブ等で指導的立場にある方
- 編集・デザイン・マスコミ関連の専門学校単位、あるいは学生個人
- 編集・デザイン・マスコミ関係職種従事者
- 写真関連メーカーで営業・販売・事務職に従事する方、あるいは会社・部署単位
- 写真関連小売業の従業員、あるいは会社・店舗単位
- カメラ店・プリントショップの経営者や、パート等を含む従業員
フォトマスター検定の5つの階級
フォトマスター検定の難易度は、3級、2級、準1級、1級、EXの5つ。
このうち、EXは写真の入賞経歴や指導経歴も審査の対象になるため、別格で難易度が高いです。筆記のみで合格できるのは1級までですので、まずはEXは考えなくてよいと思います。
デジカメWatchに分かり易く各階級についてまとめてありましたので、載せておきます。
3級
製品のパンフレットや取扱説明書に書いてある中心的な内容が理解できる。ピントが合っている、露出が合っている写真が意図的に撮れるというレベル。当初の設定レベルは中学校や高等学校の写真クラブやDPE店の接客業務レベル。
2級
基本的な知識をベースとして、一般的なレベルで写真を楽しむことができる。たとえば「被写界深度」という言葉の意味がわかるだけでなく、どのように表現に活かせるのかがわかるレベル。
準1級
写真とカメラに関する高度な知識がある。一例としては、撮像素子の受光の仕組み、レンジファインダーカメラの仕組み、シャッター速度と絞りの関係、全周魚眼レンズと対角魚眼レンズの違い、PLフィルターの原理、日中シンクロにおける調光方法、レフ板の使い分け方など。
1級
他人の指導を前提としたレベル。写真とカメラに関して、正しく科学的に解説できる。一例としては、撮像素子の構造、撮像素子の高画素化と高密度化による画質への影響、高感度ノイズと長秒ノイズの違い、クイックリターンミラーの特徴、ストロボのTTL調光と外光式調光の違い、焦点距離・口径・F値の計算など。
EX
1級の知識をベースとして、写真・カメラの指導者となりうる人材であることを認定するものです。試験内容は、作品審査、経歴審査、小論文です。
また、平成27年度の合格率は下表のとおりです。
受検者数 | 合格数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
1級 | 1,219名 | 543名 | 44.54% |
準1級 | 1,220名 | 660名 | 54,10% |
2級 | 2,355名 | 1,896名 | 80.51% |
3級 | 1,167名 | 1,057名 | 90.57% |
準1級から合格率が急に低くなっていますね。
また、準1級と1級の合格率は10%程度しか変わりません。僕自身、準1級と1級を併願しましたが、問題の難易度はさほど変わらない印象を受けました。正答率も同じくらいでした。
フォトマスター検定を受検する目的にもよりますが、カメラを楽しむためにカメラの仕組みを知っておきたい!というモチベーションであれば3級または2級、カメラ関係の仕事をしていて知識を向上させたいのであれば準1級または1級の受験をオススメします。
試験問題の構成
3級~1級の試験はマークシート方式です。
出題範囲はフォトマスター検定に下記のように記載があります。
撮影方法、撮影技法、カメラのメカニズム、レンズ等の光学問題、露出の決定方法、撮影周辺機器・機材、ライティング、被写体に関する知識、関連法規、マナー、写真史、写真家、プリンターに関連問題、デジタルカメラ関連問題、フォトレタッチ関連問題、フィルムカメラ関連問題など、写真とカメラにまつわる役立つ実用知識。
基本、カメラにかかわる範囲はすべて、というイメージですね。ストロボの発光距離の問題とか、撮像素子、歴史についても出題があります。
範囲が広すぎて不安に思うかもしれませんが、後述する勉強法をちゃんとやればなんとかなるので心配は無用です。
受検日時、受検料、会場など
試験日
試験は1年に1回しか行われないので注意が必要です。
通常は11月に試験があり、受検申込み期限が9月です。
詳細はフォトマスター検定の公式ページで確認するようにしてください。
会場
会場は全国の主要な都市で行われます。平成27年度は一般会場56会場、準会場100会場で行われたそうです。
試験日が近くなると、受検表とともに会場の案内が送付されてきます。
受検料
3級:4,000円、2級:5,200円、準1級:6,300円、1級:7,100円です。
試験時間・併願について
試験時間は下記のとおりです。
【午前】 3級/準1級 | <受付開始>9:50 <入室着席完了>10:25 <問題回答時間>10:40~12:00 |
【午前】 2級/準1級 | <受付開始>13:20 <入室着席完了>13:55 <問題回答時間>14:10~15:30 |
フォトマスター検定は、前後の階級が午前午後分かれて設定されており、併願も可能です。僕も準1級と1級を併願しました。確実に何かしら受かっておくために併願したいところですが、受検料は2階級分になってしまいます。
準1級と1級の併願だと、13,400円。。なかなか痛い出費です。逆に高額な受検料を払って、自らのやる気に火をつけるのも良いかもしれません(笑)
効果的な勉強法
実際に僕が行った勉強法について紹介します。
絶対に購入する必要がある本が2種類あります。
1つが、フォトマスター検定のホームページからしか購入できない公式過去問です。
準1級、1級レベルになってくると、所見では絶対に解けないようなかなりエグい問題が沢山出てきます。多くの問題に触れることが必要になってきますのでこれを購入しないとよっぽどカメラの本質を知っている人でない限り合格は難しいと思います。
もう1つが教科書としても使える本です。
こちらもフォトマスター検定事務局が出している本ですが、こちらはAMAZONで購入できます。
こちらの本は解説がかなり詳しく書かれているため、原理を理解しながらフォトマスター検定に必要な知識を吸収できます。
上述した本と組み合わせてしっかり勉強すれば合格できるはずです。
勉強期間は私の場合は2か月間でした。平日は仕事後に1時間するかしないか、土日は時間があれば集中して長時間勉強しました。
2つ目に紹介した教科書を2周読みカメラの仕組みをしっかり理解したうえで、1つ目に紹介した過去問を3周くらいしています。
なかなか勉強は大変でしたが、生きる知識が身につくという点で、大学受験の勉強なんかよりはるかに楽しいしタメになったと思います。
さいごに
フォトマスター検定はカメラの仕組みを知り、写真撮影と向き合う良いきっかけになると思います。
また、フォトマスター検定の勉強を通して新たに知る知識もかなりあります。
写真に携わる仕事に箔をつけるためにも、また趣味としての写真撮影の腕を上げるためにも受検してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました