「東京の真中にかういう静かな宿があるとは思わなかった。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」
作家の三島由紀夫さんの言葉です。この宿というのが今回紹介する「山の上ホテル」です。
多くの文豪達が定宿として愛し、数々の名作をこのホテルで生み出してきたそうです。東京の真ん中にある事を忘れるほど落ち着いた環境、一流の職人が提供する最高の料理。心身ともリラックスでき、執筆活動に臨む事ができたのでしょう。
今回、山の上ホテルにある「てんぷらと和食山の上」に実際に行き、食事をしてきました。てんぷらと和食山の上は、銀座・六本木に姉妹店を持つ有名店です。
本記事では、山の上ホテルの様子も併せて紹介していますので、訪れる際の参考にしてみてください。
「文人の宿」山の上ホテル
山の上ホテルは著名な作家が多く滞在した「文人の宿」として有名です。
Wikipediaにはこんな記載があります。
かつて出版社の密集していた神田に近いところから、作家の滞在や缶詰(ここでは執筆促進目的の軟禁場所としてホテルに強制滞在させられること)に使われることが多く、そのため「文人の宿」ともなっており、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、伊集院静らの作家の定宿としても知られる。三島は1955年(昭和30年)当時、「東京の真中にかういふ静かな宿があるとは思はなかつた。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人つぽい処が実にいい。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」と使い心地の感想を語っている[9]。檀一雄は舞台女優・入江杏子と愛人関係になり山の上ホテルで同棲し、入江との生活そして破局を描いたのが代表作『火宅の人』である。柚木麻子は2012年に、本ホテルにおける作家の「カンヅメ」に憧れ、自腹で宿泊する駆け出しの女性作家が主人公の小説『私にふさわしいホテル』を発表した
東京の真ん中であることを忘れてしまうほど静かで落ち着いた宿ということで、多くの文豪達に愛されているホテルとのことです。
てんぷらと和食 山の上 について
てんぷらと和食山の上の概要
てんぷらと和食山の上は、山の上ホテルの中にあります。
山の上ホテルのホームページはこんな記載がありました。
山の上ホテルは"おいしいもの"の宝庫。"名人"が良い材料を見分け、仕入れ、見事な腕で料理する。
7 つの本格レストラン&バーには7人の名人がいる。
小さなホテルがこれだけのレストランを抱えるのは異例中の異例、
"ほんとうにおいしいものを召し上がっていただきたい"と願う心は、
学生から「食通」まですべてのお客様に向けられ、その美味求道は特異ともいえる個性的なホテルを誕生させました。
後ほど山の上ホテルの外観についても紹介していきますが、上の記載にあるように決して大きなホテルではありません。
にも関わらず、銀座や六本木にも姉妹店を出すようなお店が入っているのは異例の事だそうです。
歴史があり昔から上客の文化人が訪れる環境にあるので、小さいホテルでありながら一流の料理人を抱えるお店を呼び込む事ができる訳ですね。
本記事で紹介している「てんぷらと和食 山の上」も山の上ホテルの中に入っている、一流のお店の1つです。
てんぷらと和食山の上のアクセス
JR御茶ノ水駅から徒歩6分
メトロ新御茶ノ水駅から徒歩5分
メトロ神保町駅から徒歩5分
のアクセス抜群の位置にあります。まさに東京の真ん中にあるホテルですね。
山の上ホテルまでの道
山の上ホテルへはJR御茶ノ水駅から向かいました。
御茶ノ水駅前の通りは、ご覧のとおり人が多く騒然としています。
駅前の通りから少し歩くと、明治大学前の比較的落ち着いた雰囲気の通りに出ます。
明治大学の脇の坂道へ続く小道の入り口に山の上ホテルの看板が出ていました。
雲のような葉っぱのような可愛い看板です。
山の上ホテルへと続く坂道は、御茶ノ水駅前の騒然とした雰囲気とは一転して、とても静かです。
東京の真ん中であることを忘れてしまいそう。
坂を登り切った先に山の上ホテルがあります。
歴史を感じさせる、趣のあるたたずまいです。そこらへんにある普通のホテルとは明らかに雰囲気が違いますね。
写真の左にある蔦が巻いた建物は山の上ホテルの駐車場です。この駐車場だけ見ると、若干廃墟っぽい(笑)
初めは驚きましたが、不必要な改修をせず、歴史を感じさせる建物を敢えて残しているのも山の上ホテルの良いところなのかもしれません。
最近の新しいホテルはどれも同じようなガラス張りの物ばかりで特徴がないですからね。
建物を見るだけで、ホテルが歩んできた歴史や、ホテルに一体どんな人物が泊まっていたのか、自然と興味が湧くというのはこのホテルの魅力だと思います。
山の上ホテルが今も昔も多くの人に愛されたホテルであることを裏付けるように、ホテルの周りには多くに絵描きさんが居ました。
山の上ホテルの内観
てんぷらと和食のお店「山の上」を紹介する前に、山の上ホテルの内観も少し紹介したいと思います。
山の上ホテルはアールデコ調という、パリで生まれた建築様式に習って作られたそうです。
クラシックでありながら、どこかモダンな雰囲気。
部屋にいるだけでリラックスできるような、時間が遅くなったように感じるような感覚がありました。この落ち着いたホテルの内装も多くの文化人を引き付けた理由の1つなのかもしれません。
ちなみに、山の上ホテルオリジナルのお土産も売っていました。
通の人にワインケースとかプレゼントしたら、「おっ、こいつできるな」と思われそうですね。
てんぷらと和食山の上の外観
では、いよいよ「てんぷらと和食 山の上」について紹介していきたいと思います。
てんぷらと和食山の上は、山の上ホテルの建物の右側にあります。
正直かなり見つけづらいところにあります。人が通る場所には無いので、散歩していてふらっと立ち寄るのは不可能ですね。
こんな立地にあるのに、銀座六本木に姉妹店を出すほどの有名店になるのだから、相当職人さんの腕が良いんでしょうね。
こちらが入り口の写真です。明るくて綺麗な入り口でした。
てんぷらと和食山の上のランチメニュー
お店の入り口にあるメニューの写真を撮ったので、載せておきます。
この写真は2017年10月のメニューです。季節等によりメニューは変わるので注意してください。
一番安い定食でも5,500円~。ザワザワしちゃいますね。
ホームページの情報に依るとディナーはこの倍の値段になります。一般人は危なくて昼しか近づけませんね(笑)
こちらは1品料理のメニュー。
1品料理は、どれも1,000円以上します。若輩者には手が出せない価格帯。。
1品料理は手を出さず、定食だけ注文することを心に決めました。
てんぷらと和食山の上の内観
こちらが、てんぷらと和食山の上の内観です。
お店の中は清潔感もあり、落ち着きもありの、如何にも高級店という雰囲気。
僕はテーブル席でしたが、カウンター席もあります。
僕が「てんぷらと和食山の上」さんに予約の電話を入れた時には、カウンター席はすでに満席でした。目の前でてんぷらを揚げて貰いたい方は、早めの予約をおすすめします。
カウンター席には1人で来ているお客さんも多かったです。高級店に1人で来て、カウンターに座るような方は、さすがに品のある方が多かったです。こういう大人になりたい(笑)
座敷の写真も撮らせていただきました。綺麗な個室だったので、特別な食事の席に利用できそうです。
僕が座ったテーブル席の様子も紹介したいと思います。
こちらがテーブルの上の写真です。お客さん1人に1つ、油落としが用意されていました。
お箸と、ナプキンも綺麗に並べられていました。
旬の食材を紹介するプレートも置かれていました。料理が来る前に、こういうプレートを読むのが結構好きだったりするので、あると嬉しい。
値段が書かれていないのが怖いですね。
おすすめの1品料理も紹介されていました。
てんぷらと和食山の上 実食レポート
ここからは、てんぷらと和食山の上の料理を写真たっぷりで紹介していきたいと思います。
僕はてんぷら定食の「(イ)の二」を注文。海老の天ぷらが3つ、魚の天ぷらが3つ、野菜の天ぷらが4種類のコースです。
一緒に行った人は、「(イ)の一」コースにしていました。こちらは、エビのクオリティが上がり活車海老の天ぷら2つになっている代わりに、魚の天ぷらが無くなり野菜の天ぷらが10種類になっています。
料金はどちらも5,500円です。
テーブルには、てんぷらを更に美味しくする、三種の神器が用意されました。
上の写真にも写っていますが、当然のようにビールを注文しました。昼間から飲むビール最高です。
グラスにもちゃんとお店のロゴが入っています。
撮り忘れましたが、コースターにも「HILLTOP HOTEL」の文字が書かれていました。
届いた順番に、料理を紹介していきます。
初めに届いたのはエビの天ぷらでした。
ちゃんと綺麗に見えるように油落としの上に盛り付けてくれました。
衣のアップ写真もどうぞ。
海老のてんぷらを1口食べてビックリ!衣にも旨味というか、なんとも表現できない味がついてる!
塩すらいらないくらいの美味しったです。
もちろん、塩やてんつゆにつけても美味しかったですけどね(笑)
尻尾まで美味しく食べられちゃいました。
次に届いたのは、小玉葱と伏見とうがらし。
玉葱がホクホクで甘味があってめちゃくちゃ美味しかったです。
伏見とうがらしは辛みの無いとうがらしだそうで、確かに食べてみると辛みは強くなく、オクラのような食感でとても美味しかったです。
小玉葱の綺麗な断面の拡大画像も載せておきます。ホクホク感をうまく伝えられないのが悔しい。
4、5品目は、ナスとキスのてんぷら。
キスはてんぷらとの相性抜群なので期待です。
キスは期待を裏切らない美味しさでした。
上品な白身の美味しさを堪能できました。
6、7品目はハス(レンコン)とメゴチのてんぷら。
メゴチの天ぷらが半分に切れてしまっていますが、写真を撮るのを忘れて切ってしまったためです(笑)。食べたい欲を抑えきれませんでした。
ここまで様々な種類のてんぷらが出てきましたが、どの食材も食感・味が異なるので、それぞれ違った美味しさがありました。
てんぷら最後の8品目はアナゴのてんぷら。
アナゴのてんぷらももちろん美味。ビールとの相性も抜群です。
ディナーで日本酒でしっぽり食べたかった。
赤出しの正体は、しじみのお味噌汁でした。
食べるのが大変なくらい大量のシジミが入っていました。
てんぷらを連続で食べ続けていて、口がしょっぱくなっていたので、白米がいつもの5割増しで美味しく感じられました。白米が出てくるタイミングも考え尽くされているんでしょうね。
香の物、おしんこも綺麗に盛り付けられていて写真の撮りごたえがありました。色のバランスが綺麗です。
最後のアイスクリームは抹茶のアイスと、洋梨のシャーベットから選ぶことができたので、洋梨のシャーベットを選択。
最後に美味しいシャーベットで締めることができて、大満足のコースでした。
今回僕が頼んだコースでは、3匹の海老の天ぷら、3種類の魚の天ぷら(キス、メゴチ、アナゴ)、4種類の野菜の天ぷら(子玉葱、伏見とうがらし、ナス、レンコン)を味わうことができました。
メニューは季節によって変動すると思いますが、色々な美味しい天ぷらを食べることができて、バランスの良いコースだと思います。
【おまけ】活車海老と季節野菜10種類のコース
一緒に行った人がこちらのコースを頼んでいたので、おまけでこちらのコースも紹介します。基本的にシェアしながら食べていたので、こちらのコースの天ぷらも味わうことができました。
活車海老のコースでは、車海老のてんぷらの前に、海老の殻の部分のてんぷらが味わえます。なかなか衝撃的な見た目です。どうやって取り出したんだろう。。。
活きの良い海老なので、殻も美味しく食べられるとのこと。1ついただきましたが、料理として成立するのが分かるくらい美味しかったです。
もちろん、車海老の身のてんぷらも味わえます。
銀杏の天ぷら。
後味にほのかな苦みがあってクセになりそうな美味しさでした。
ハクレイタケとカボチャのてんぷら。
ハクレイタケはアワビのような食感が楽しめるとの紹介がありました。初めて聞いたキノコだったのですが、確かに独特の歯ごたえがあってとても美味しかったです。コリコリとしているのに歯切れの良い、今まで食べたことのない天ぷらでした。
グリーンアスパラのてんぷら。
シャキシャキとした食感が残っていて美味しかったです。
まいたけのかき揚げ。天丼にもしてもらえるそうです。
以上が、てんぷら定食の料理紹介でした。
なかなかお高いコースでしたが、美味しいものを食べて贅沢すると、また仕事頑張ろうという気持ちになれますよね。
山の上ホテルの現代離れした雰囲気と、てんぷらと和食山の上で美味しい天ぷらを楽しめて、心身ともに満たされました。
まとめ
多くの文人に愛されたホテル「山の上ホテル」と、てんぷらと和食山の上について紹介していきました。
歴史を感じるアールデコ調の建物を見て、さらに美味しい天ぷらも味わえて、まさにに五感で癒されます。
平日頑張って仕事をした自分へのご褒美に食事をしに行ってみてはいかがでしょうか。